東京医科歯科大学5年生 Mさんの感想

 

診療所で行っている医療の内容は、設備も整っていて、市中の病院・大学病院とさして変わらないと思った。また大病院との間に連携が確立されていて、理想的な分業ができているように感じた。病診の連携には、きちんとした紹介状・礼状を書く、普段から一緒に勉強会をやる、どういう医師か知っている、などの相互の努力が大事と聞き、納得した。ただ大病院は病床が不足しており高齢者は年齢だけで入院を断られることもあるそうで、問題だと思った。都立病院では周辺の診療所・医師会と病院をまとめる組織(?)があり、入院を要請したら必ず受け入れる仕組みができているそうで、そういうシステムがあるといいのかもしれない。

過疎が進み高齢者が多かったが、山奥にものすごい状態で暮らしている人もいらっしゃるようで驚いた。福祉の介入の難しさを感じた。理解しきれていないが介護保険にも問題がたくさんありそうだし、相変わらずホームに入るとPSの良かった人が急に痴呆になったりするそうで、福祉・介護の制度がイマイチな印象を受けた。

また、今まで漠然と「田舎の方が在宅で最期を迎える人が多そう」なイメージを抱いていたが、交通が不便で家が点在する田舎では街中よりも在宅医療が難しいのが現実だった。

時々往診に行くくらいでは、服薬コンプライアンスの悪い患者さんや、血糖コントロールの悪い患者さんなどは、とても管理しきれないことも分かった。高齢者の二人暮しなのに「インスリン6回うち」などを指示されて退院してくる患者さんもいたそうで、病院の責任を感じた。食事のコントロールもなし崩しになりがちだが、あまり厳しく言うのも患者さんのためになるのかならないのか微妙な所で、大学病院で行う厳格な治療・教育との違いを感じた。

患者さんを退院させて地域医療に委ねる時には、よくよく治療・看護計画に無理がないようにしないと駄目だと思った。

初対面の患者さんは殆どいないとの事で、患者さんの暮らしぶり・既往・健康状態を大体把握したうえで診察できていて、診療所ならではだと思った。患者さんと先生の間に信頼関係があり、患者さんが先生に何でも相談しやすい感じ、遠慮のない感じだった。外来診療では、必ずしも確定診断が必要とは限らなくて、患者さんが今日何を求めて来ているのかも汲み取って薬を出したりするのが新鮮だった。また治療・検査の内容に、医療保険上の制約が大きく影響していることを知った。

大学病院では患者さんが訴えた全ての症状を一人の医者が面倒みることは不可能で、専門科にコンサルトして回すことになる。村にひとつの診療所では先生が風邪も小児救急も皮膚科も整形外科もX-pの撮影も、全部をこなしていることに感動した。

Common diseaseをたくさん見たり診察できて良かった。風邪についてのクルズスは有益だった。

<反省点>

患者さんの症状に合わせた診察がとっさに出来ず、とまどった。また、鑑別診断などの知識不足を痛感した。

3日間ではやや短すぎるような気もした。デイサービスでの入浴介助なども体験してみたかったが時間が足りず、少し残念だった。(個人的に介護ボランティア・診療所実習などに行けばいいだけの話なのだが、なかなか・・・。)